森見登美彦『太陽の塔』を読んだ
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/12/19
- メディア: 単行本
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泣いた。大傑作だった。これは面白い。
妄想と現実の境目でもがく主人公と、その彼を振った水尾さんの距離が遠い遠い。非モテをくすぶらせた男達の戸惑いと、幸福とストイシズムとの間で揺れ動く欲望をもてあまして鬱屈した思いが、凄まじいエネルギーとなって大混沌の様相を呈する場面なんかは、想像を絶する面白さだったし、やがてやってくるラストシーンの…ああ、もう言えないぜ。とにかく傑作。
これだけリズム感の良い文章をさらさらと書く人故に、そこに泥濘したねばっこくてすっきりしない展開になってしまうのかなと思いきや、このカタルシスを持ってくるそのセンスに感服した。バッファロー66を観た時のような快感。
バッファロー66を見て、「このビンセント・ギャロという男は、なんともてないやつだ!これでは中学生じゃねえか!」とか言ってたら、「何言ってんの?馬鹿じゃないの?モテてモテて、大変な事になっているでしょう」と返され、チェックしてみたら本当格好良いやつでやんの。その演技力と演出力!