法月綸太郎『一の悲劇』

一の悲劇 (ノン・ポシェット)

一の悲劇 (ノン・ポシェット)

しばらく徒労を続けて来た、「新本格の中から傑作を探す旅」ですが、やっと俺好みの一冊に出会ったよ!マジで、これは文句無い。『十角館』も『アウスラ修道院』(二階堂黎人って他に良い作品があるのかな?)も、面白いんだけど今一歩ハマれなかったんですが、ようやくです、ようやく。

僕個人としては、大好きなエラリー・クイーン『ギリシャ棺』の変節だと思ったのですが、法月以外の人物の目線から語られる物語、という変わった語り口や、『頼子』を引き継ぐ形になる「家族の物語」だったりする点も良いアクセントになっていますが、なんと言っても手に汗を握る展開と分かりやすいドンデン返しがこの小説の肝でしょう。ようやく、僕はここから日本の本格推理を読み始める事が出来るんだな、と嬉しく思っています。

先にも書いたように、やや変則気味なので、しっくり来ない人もいるでしょうが、まあその辺りは好みって事で。これから、『法月綸太郎の冒険』を読みますよ!