Orchard Vale

オーチャード・ヴェール [DVD]

オーチャード・ヴェール [DVD]

古巣に、ティム・キンセラ(Joan of Arc)の来日記念上映を観に行ってきた。

「Orchard Vale」は、ティムの初監督作品。詳しくは、ripping yardに書こうと思っていますが、本人がトークショーで「ホラー映画を観るのが好き」と語った通り、ロメロ以降の「映画」を語る上で外せないテーマを、非常に大胆な手法*1でクローズアップしています。「アメリカではマルクス兄弟に比肩するスラップスティックコメディ」と言っていましたが、一貫して陰鬱な、地味なんだけどイヤーな影響力を持った作品のように感じました。当然、万人受けしない作品ですが、興味深い作品ではあります。

オーチャード・ヴェール

オーチャード・ヴェール

信じられないぐらい音楽が素晴らしい作品なので、是非サントラは聴いて欲しいです。「エレクトロアコースティックという方法論を通過した上でのプリミティヴィティ」という本人の弁通り、タウンアンドカントリー組*2が非常に良い仕事をしています。「映画の間よりも、音楽の間を計る才能があることを知っているので、あえて映像を見ずに音楽を作ってもらい、それに合わせて映像を再編集した」という判断が、実に有効に働いています。

トークショー後にソロライブ。

新作「Boo! Human」からは一曲もやらなかったのではないか??「いつものJOAの曲をやるの飽きちゃったから、普段やらない曲をやります」ということで、一曲目から「who's afraid of elizabeth tailor」!!俺、生涯で一番聴いているファイヴァリットソング。素晴らしかった!ほぼ、「live in chicago, 1999」からの選曲で、なんか懐メロ聴いているみたいな態度とっちゃったけど、新作、良かったですよ!でも、嬉しかったなあ…。

Live in Chicago 1999

Live in Chicago 1999

ちなみに、俺の一番好きなJOAのアルバムが、この「live in chicago, 1999」。人によっては、次のアルバム「the gap」が一番と言う人もいるけど、俺は断然「live in〜」。このアルバムは何回聴いたか分からない。全曲好き。多分、同時期に、同じような影響を受けた人が、今の日本のアンダーグラウンドシーンには大勢いると思う。それぐらい、衝撃的なアルバム…というかバンド/存在でした。エレクトロニカとフォークミュージックが、過不足なく見事に融合しているのは、ケイシー・ライスの匠によるところも大きいと思う。その系統で言えば、leefcutter johnとかも、その部類ですね。

帰りに、ティムが好きだと言っていたカサヴェテスの「a woman under the influence」を借りる為にTSUTAYAへ。佐々木敦さんが、国内版出ていないはず、と仰っていましたが、「こわれゆく女」でビデオ化されてました。会員登録して、他にも何本かレンタル。

写真は、ティムの使っていたギター。木で出来たボディに、彫り物がしてあって、滅茶苦茶格好良かった。

*1:つまり、ゾンビ映画にゾンビが出ない、宇宙人映画に宇宙人が出ない、津波映画で津波が起こらない

*2:幼なじみなんだね!