平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

我らがデルモンテ平山さんの、「このミステリーがすごい!」一位獲得作である本作を、遂に入手!すごかった…。こんなにも美しいゴア小説は、未だかつて読んだ事がない。デストピアものや、SFも含まれていたりするが、基本は残虐描写がふんだんに盛り込まれた、直視に耐えない物語。だが、巧妙な語り口とアッと言わせる展開に、投げ出す事も飽きる事も無いまま読了した。

心の汚い人の住む町に暮らすうちに、自らも人を蔑むようになるという残酷物語や、養父やクラスメートからの虐めに耐えかねて、連続殺人鬼に救いを求める少女の話、ヤクザの人肉処理師として、人を食べ続ける巨人の世話をする話など、あらすじをなぞるだけで読む気の失せる短編の連続。しかしながら表題作「独白するユニバーサル横メルカトル」は凄い。なんと、地図帳の独り言である。設定だけで卒倒するが、そんな中でも珍奇さに寄りかかるわけではなく、物語的に美しい展開を見せる物語「だけ」が収められている本著は、ゴア描写に耐性のある方にはお勧めです!