隠された記憶
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うって変わって、こちらは地味すぎて全くお勧めできない(しかし素晴らしい!本当に素晴らしい)作品。「ファニーゲーム」「ピアニスト」で一躍俺のお気に入り監督にのし上がったミヒャエル・ハネケの最新作。住まいを隠し撮りしたビデオが送りつけられ、その静かな脅迫に恐れおののく、ある夫婦の姿を描いた作品…と聞くとサスペンスみたいなんですが、この映画はどこか軸がぶれていて面白い。
静謐、あまりにも静謐な長回しの映像が、そこに映った人々の緊張感をダイレクトに伝える。「ファニーゲーム」「ピアニスト」でも顕著だった、緊張感の高まりとその爆発が、極めて上手く作用しているのが見所。ぐいぐいと引き込まれるように見てしまった。
結局何だったのか?という問いに関しては、正解を言える者はいないだろう。誰が犯人でも整合性が取れないし、逆に取れるかもしれない。整合性なんて、そもそもこの物語に存在するのかどうかも怪しい。ここにあるのは、ある人々の時間的な連なりだけであって、それをどう切り取り、どう繋ぎ合わせるかで、監督のメッセージ性はおぼろげながら見えてくる形になるのかなと感じました。
「ファニーゲーム」も「ピアニスト」もお勧め。残酷な描写を多用する事で知られるハネケ監督ですが、伝えたいものはその裏側にひっそりと息づいている、そんな作風の監督ですから、ホラー映画などとはまたちょっと違った角度/深度のメッセージが秘められた作品です。
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